『・・・・・・・・』


 もくもくと黒煙が立ち上る。
 発生源である炎の側で、を含めた全員が黙祷を捧げていた。
 例外として、悪魔のバルレルはこの場にはいない。

 瓦礫の中からなんとか引きあげた人間たちはすでに全員事切れていた。中には瓦礫に身体を潰されてひしゃげているものもあった。今、それらをすべて供養していたのだった。

「ねぇ・・・」
「ん・・・?」

 目に涙をためたユエルが、の服の裾を引っ張る。


「なんで・・・街のみんなが死ななきゃいけないのかな・・・」


 裾から手を離し、ユエルはの腕にしがみつく。


「どうして・・・こんなヒドイことを平気でできる人がいるのかな・・・」


 地面に視線を向けて、


「どうすれば、こんなコト・・・2度と起こらなくなるかなぁ・・・?」


 彼女は絞り出すように口にすると、身体を震わせた。
 彼女にかける言葉が見つからず、はただ頭を撫でつづけた。





    
サモンナイト 〜時空を越えた遭遇〜

    第42話  出発!!





 太陽が昇り、朝が来る。
 来る決戦のために昨晩は早々と床についた。おかげで今、気分は晴れ晴れとしている。
 左腰に愛刀『ミカゼ』を、両腕にソウシから分けてもらったサラシを巻く。

「・・・これは、なかなか難しいな」

 巻いては緩まり、緩んでは巻いてを繰り返し、手首の甲でやっとこさサラシの先を結んだ。
 ぐっ、ぱっ、と両手を握り開きを繰り返して具合を確認。
 よい具合と確認すると、テントを出た。

「おはよーっ、おにいちゃんっ!!」
「オハヨウゴザイマス」

 はやいな、と思いつつイリスとクルセルドと挨拶を交わす。

 久しく稽古してないなと考えつき、2人から少し離れると右手を柄にかけた。

 右足を強く踏み出す。
 左手で鞘が落ちないように支え、抜刀。
 ダンッ、という音と共に地面に足を浅くめり込ませ、右手を伸ばして正面で止める。
 ひゅっ、と音を立てて、刀身は右腕に支えられ空中で止まった。出たばかりの太陽からの光に刀身が反射して、顔を照らした。



「・・・精が出るな」
「あぁ、おはよう。いや、ヴァンドール来てからこっち、稽古ってものをしてなかったからさ。戦いが始まる前に、少しやっておこうと思って」

 腕を組んでソウシはを見て笑みを浮かべる。
 刀を納めつつ、彼に顔を向けた。

「もうすぐここを発つ。無理をせぬようにな」
「・・・もちろん」

 笑って拳を彼に向けて突き出した。


























「みなさん、準備はお済みですか?」

 ファミィの声が聞こえ、改めて確認。終わりつつ彼女を見てうなずいた。
 はい、と返事をすると、両手をあわせる。にっこりと笑って、

「それじゃ、出発しましょうか?」
『おーっ!!』

 手を振り上げて返事をするのはユエルとイリスとメリル、シュラの4人だった。




















「ケッ、ったくよォ・・・ぶつぶつ」
「バルレルくん、そんなにむくれちゃダメだって・・・」

 乗り気でないバルレルの背中をアッシュが押しつつ、目の前にそびえる山へと足を向けた。














第42話です。
短いですね。
一応、出発!!っていうことで、短めに・・・
ってことに、しておいてくださいませ〜




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