「・・・っ!!」

 力の入らない身体を強引に起き上がらせる。
 すでに視界はぼやけ、足はガクガクと震えているが、倒れてなどはいられない。

「正直な話、貴方たちの存在は私たちにとっては邪魔なものでしかなかったのです。特に・・・」

 青い髪をなびかせながら、彼女は、ユエルの順に指差して

「・・・貴方とその子が私の放った魔力に気づいていたのですからね・・・」
「っ!?」

 2人は彼女を睨みつけつつ、身構える。


「・・・お前たち、何者だっ!?」
「まだ、叫ぶほどの元気があったか」

 女性を取り囲む男女の内、1人の男性が声を出した。
 長身に黒髪、シルターンのサムライのそれと似たような着物を着ている。
 腰には、刀が数本。

 彼はつかつかとソウシに歩み寄ると、

「・・・大人しく寝ていろ」

 彼の後頭部へ手刀を入れた。瞬間、彼は首を落として意識を飛ばしてしまう。
 同様にしてとユエル以外の全員を気絶させ、その男性は彼女のそばへ戻っていった。




    サモンナイト 〜時空を越えた遭遇〜
    第38話  彼女とその仲間たち





「・・・チッ、誓約に縛られてさえなければ、こんな奴ら・・・」

 あの野郎、思いっきり誓約かけやがって・・・
 バルレルは自分を召喚した漆黒の派閥の召喚師を思い出し、歯を立てた。

 彼は元から身体が小さかったわけではなく、誓約によって今の姿にされていたようだ。


「心配しないで。私たちは、貴方たちに何かをしようとしているわけじゃないから」
「・・・どうせ、みんなすぐに死ぬ・・・」

 冒険者風の服装をした女性と、背丈が彼女の半分にも満たない少女が、順に声を発した。


「貴方たちが、漆黒の派閥ごときにあそこまで時間がかかるとは思いもしませんでしたわ」
「彼らのことを、知っているのか?」

 彼女は、ええ、と言いつつうなずく。

「何が、目的だ・・・?」

 が尋ねれば、彼女は一言、隣の少年に声をかけ一振りの剣を持ってこさせた。

「これですわ」
「それは・・・!?」
「古の昔、エルゴによりこの世界にもたらされたという・・・聖剣フォルスエイン」

 陽の光に反射し、鞘に納められたその聖剣はにその光を当てる。
 闘技大会の優勝者にだけ送られる、聖剣だった。

「貴方たちがいなくなってくれたおかげで、早い段階でこの剣を入手することができたのですわ。私たちの望みのために・・・」
「望み・・・だと?」
「もう話は終わりにしよう、フォルネシア」

 そろそろここを出ないと、ヤツらが来る。

 今までと違う男性に声をかけられた彼女は、笑みを彼に向ける。

 その男性は召喚師の着ているようなローブと、太陽光に反射するほど綺麗な銀髪で、一見、優しそうな印象を受ける男性だった。

 ヤツらというのが誰なのかはわからないが、彼らにとって都合の悪いことなのだろう。



「他意はないが、大人しく寝ていてもらおうか・・・」

 さっきのサムライ風の男性の声がしたかと思えば、ぐらりと視界がゆがむ。


「さて、それでは私たちはこれでお暇させていただきますわ」

 みなさん、参りましょう。

 青い髪の女性―――フォルネシアは、取り巻きに声をかけた。










「私は・・・私たちは、世界を清める者。この世界を・・・粛清する者」










 意識の途切れる間際に、そんな声が聞こえたような気がした。






























「・・・・・・様!ここに・・・」
「あら・・・・・・・・・・」

 金色の鎧に身を包んだ兵士が、声をあげる。
 さらに、その先でやんわりとした声が聞こえた。



















第38話でございます。
生かされました。そして、あの女性との出会いです。
さあ、だれでしょう・・・?




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