「ほぇ〜・・・」
と、ユエルと、ソウシ。それに、イリスとクルセルド。
場所は、闘技場の入り口前。
人の多さにユエルは口を大きく開けていた。
「ニンゲンが、いっぱい・・・」
言葉のとおり、入り口に群がる人の量。
武器を背負った人たちばかりがごった返していた。
「今日から闘技大会の開催だからな。おそらく全員参加者だろう」
「・・・いくらなんでも多すぎるよぉ・・・」
そばから聞こえるのはあまりの人の量にふらつくイリスの声。
自分以外に子供の姿に子供の姿が見当たらないからだろうか。
「大丈夫ダ。いりすニハ自分ガツイテイル」
「・・・うん」
自らの召喚主を肩に乗せ、気持ちを和らげようと声をかけるクルセルド。
その声に、彼女の表情は多少和らいでいた。
そこへ、ソウシによるこの一言。
「これだけ戦士たちが集まっているのだ。もしかしたら試合前に奇襲をかけられるやもしれぬな」
「・・・・・・」
お前たちなら返り討ちにしてしまうだろうがな。
はっはっは、と笑ってソウシは1人、闘技場に入っていった。
サモンナイト 〜時空を越えた遭遇〜
第05話 闘技大会・予選 1
『大会に参加する方はこちらにきてくださ〜い!!』
ロレイラルの技術だろうか。
マイクを持った大柄な男性が腕を大きく振って誘導している。
5人は、混みあう通路をなんとか抜けて、大きな広場に出た。
その先は、4つに区切られた部屋になっているようだ。
4つの部屋の入り口前に、通路を抜けた全員が集まっていた。
『それでは、これより予選をはじめま〜す!呼ばれた方は、私のところへきてください!』
「どうやらあの中で予選を行うようだな」
「戦うのかなぁ?」
「多分、そうだろうな。仕切ってあるのは、ほかに影響がないようにするためだろう」
係員の人に呼ばれて、十数人の戦士たちが入っていく。
この人数だ。まさかタイマンなんてコトはないだろう。
待つこと数分。
全員が体をぼろぼろにして部屋から出てきた。
喜びに満ち溢れているのは1人、または2人。
「ドウヤラ予選ノ方法ハ十数人ニヨルばとるろいやるノヨウデスネ」
「ああ、たくさんいる中で1人残ればいいってヤツか」
の声に、クルセルドはうなずく。
それを聞いてか、イリスはぶるっと身震いした。
「ええーっ!それじゃあボクたち召喚師はスゴイ不利じゃない?」
たしかに。
詠唱中に攻撃されてはイリスたち召喚師はたまらない。
いくらクルセルドが強くても、大多数相手にイリスを守ることは至難の技だろう。
そのとき。
『えー、イリスさん!・・・イリス・アルフェルトさん!』
名前を呼ばれて思わず震えるイリス。
はポン、と彼女の肩を押した。
「だーいじょぶだって。召喚術に自信、あるんだろ?」
「そうだよっ!イリスとクルセルドなら、きっと勝てるよ!」
とユエルで励ましの声をかける。
イリスはいまだに萎縮しているようだが、しぶしぶ歩いていった。
もちろん、クルセルドは彼女の後ろを歩いている。
「イリスは・・・だいぶ縮こまってしまっているな」
「むぅ・・・」
は、腕組みをして部屋に入っていくイリスを見つめていた。
「むぅ〜・・・イヤだなぁ・・・」
「いりすガ出ルトイッタノダロウ」
しぶるボクに喝を入れるクルセルド。
「じゃあ、ちゃんとボクのこと守ってね?クルセルド」
「承知シマシタ」
部屋に入り、それぞれの場所に散らばる大きなおにいさんたち。
見回すと、ボクみたいな召喚師の姿は数えるほどしか見当たらない。
「カベの方に行こう、クルセルド」
壁際に歩いていく。
背後からの攻撃を受けないためだ。
ボクは壁を背にして、杖をかざした。
「じゃあ、いこう!クルセルド!!」
「了解。これより、敵ヲ掃討シマス!」
召喚術が一発使えれば、きっとボクたちは勝てる。
黒いサモナイト石に、魔力を注入し始めた。
おおきいおにいさんたちが、ボクたちに向かってくる。
弱い相手からツブそうとしてるんだ。
「ボクをなめたこと、後悔させてあげる!!」
近づいてくるおにいさんたちは、電気エネルギーを剣状に変化させたクルセルドが相手をしている。
ボクは、魔力を注いだサモナイト石を掲げた。
「いっくよー♪」
「あ!イリスたちが出てきたよ!」
「どうやら、勝ったようだな」
イリスは、飛び跳ねながらこちらに向かってくる。
「おっにいちゃ〜ん!」
「あーっ!?」
思い切り、イリスはに突っ込む。
ユエルが、指をさして激昂している。
イリスの体ごと見事に彼の鳩尾に決まり、思わず咳き込む。
「あ、ゴメンね。おにいちゃん!大丈夫!?」
「げほ・・・な、なんとか・・・」
「ダメでしょ!?イリス、にヘンなことしちゃ!」
げほ、げほ・・・と咳き込み、イリスを見た。
「ほんとに・・・好かれてるなぁ・・・」
ソウシが、3人を見て1人ごちていた。
『 さん!いますかぁ〜!?』
「あ、!ほら、ユエルたちの番」
「あ、ああ・・・行くか」
腹部を抑えたまま、とユエルは、予選に向かうのだった。
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