彼女は金の派閥という組織の召喚師見習いで、護衛獣と共に旅をしていたところではぐれの大軍に遭遇。
 逃げていた最中だったらしい。

「それで、その護衛獣さんはどこへ行ったの?」
「残りのはぐれたちをひきつけて森の中に入っていきました」

 ユエルの問に、イリスは近くの森を指さした。

「もうすぐ来ると思いますが・・・」
「あ、そうだ。よかったら敬語やめてくれないかな。その・・・慣れてなくてさ」

 友達を話をする感じでいいから。
 そう言うと彼女は笑ってうなずいた。

「じゃあ、さんのこと・・・おにいちゃんって呼んでもいい?」
「ぶっ・・・!?」

 唐突にそんなことを言われて思わず吹き出した。
 そういった呼ばれ方は、島で慣れていたからよかったものの・・・
 期待の眼差しを受けて、は思わずうなずいてしまった。

「ホント?やったぁ!!」

 イリスは、飛び上がって喜んでいた。


    
サモンナイト 〜時空を越えた遭遇〜

    第01話  闘技の街


 その時、独特の機械音を鳴らして機械兵士が森から姿をあらわした。

「あ、クルセルド!こっちだよ!!」
「ココニイタノカ。サガシタゾ、いりす」

 飛びつくイリスを抑え、クルセルドと呼ばれた機械兵士がとユエルを見た。

「アナタガタハ?」
「あのねっ、はぐれに襲われてたボクを助けてくれたの!」

 クルセルドは、2人に礼を述べ頭を下げる。
 もなぜか、彼に頭を下げていた。

「自分ノ名ハくるせるど。機界ろれいらるノ機械兵士デス」
「俺は、 だ」
「ユエルはユエルっていうの!!」

 ユエルはニコニコして彼に答えていた。

「ところで、おにいちゃんたちはどこに行くの?」
「この先にある(と思われる)街に行きたいんだけどな、迷っちゃったんだ」

 そう言って地図を目の前に広げた。
 クルセルドは、それを見て感心したような声を上げていた。
 その地図の中の、1つの街を指差す。

「ここから一番近い街だと思うんだが・・・」
「ヴァ、ン・・・ドール・・・」

 イリスが地図に書いてある街の名前を読み上げる。
 は、うなずいて水も食料も尽きてしまったことを2人に話した。

「コノ街ナラ、モウ目ト鼻ノ先デスヨ」
「ホント!?」
「せっかくだからさ、ボクたちも一緒に行ってもいい?」

 ボクたちの旅はいつもそんな感じだったから。
 そう言ってイリスはにっこりと笑った。
 とユエルは顔を見合わせ、うなずく。

「それじゃあ、よろしくな」
「よろしくね!」

 の声に、イリスは満面の笑みを浮かべて言葉を返した。
 クルセルドは、反論するつもりがないのか

 「ヨロシクオネガイシマス」

と機械的な声で一言つぶやいた。












 「あそこだよ!」

 イリスの指の先に見えるのは、いかにも強固そうな壁。
 扉のようなものも見える。
 とユエルは、そろって息をついた。

「よかった・・・本当に、よかった・・・」
「今日は、ゆっくり眠れそうだよ・・・」
「・・・ソウトウツラカッタヨウデスネ」

 そう言うクルセルドに、とユエルは大きくうなずいた。
 安心したせいか、腹の虫も大合唱している。

「着いたら早速、メシだな」
「もちろんだよ!」

 2人は視線を目の前の街に定め、一目散に走り出した。
 後ろから、イリスの声が聞こえる。

「俺たち、メシ屋に行ってるから、そこで!!」

 それだけ言って、ユエルと2人で走り、街の入り口にたどり着いた。



「俺たちこの街に入りたいんだけど・・・」
「ようこそ、闘技の街ヴァンドールへ。今度、闘技大会が開催されるから、腕に自信があるなら出てみるといい」

 それだけ言うと、門番のお兄さんは門をあけてくれた。

「よし、ユエル!メシ屋に直行だぁ!!」
「オナカスイタ〜!!」

 2人は街へと飛び込んだ。






 街の中は、とても活気付いていてにぎやかだった。
 しかし、よく見るとマッチョな兄さんや、大きな武器を背負った人がいたるところに見て取れる。

「闘技大会が近い、か・・・」


ーッ!早くしないと置いてくよ!!」
「悪い、すぐ行く!!」


 少し離れたところから飛び上がって自分の名前を叫ぶユエル。
 は、急いでその方向へ走った。



















「ねえ、ゴハンは?」
「・・・・・・」

 ここはこの街の商店街。
 ・・・とは名ばかりで、どこを見ても武器屋ばかり。
 しかも、男ばかりでとても通る気になれなかった。

「あーっ、ここにいた!」

 背後から声。
 それは、先ほど置いてきたイリスとクルセルドだった。

「ココハ、武器街デス。食堂は、コチラデスヨ」

 そう言って、ガショガショと歩き出す。

「ま、待って〜・・・」

 とユエルは、慌てて彼らの後を追った。
 素晴らしい方向音痴。
 もっと気をつけよう・・・













「ココデス」
「「お〜!!」」

 大きな看板に「食堂」と書かれている。
 とユエルは、声を上げて腕を振り上げた。

「ちょっ、やめてよ。おにいちゃん!ユエル!」
「「お・・・」」

 商店街を行き交う人々の視線がとユエルに向けられているのに気が付くのに数秒。
 2人が叫ぶのをやめると、何事もなかったように街に活気が戻っていた。

「コノ街ニ食堂ハココノミデス。ハヤク席ヲトラナイト座レマセンヨ」
「よし、入るか」



 4人は、食堂の扉を開け、中へ入っていった。











←Back   Home   Next→

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送