「何?刀が使い物にならなくなった?」
「・・・も、申し訳ない」

 護人から歓迎され、キュウマに連れられて何とかミスミの屋敷まで戻ることができた。

「一体、何をやったら刀がこんなになってしまうのじゃ?」

 ミスミはまじまじと刀を見つめた。
 多少の刃こぼれと刀身の真ん中あたりに大きなヒビ。

「それは・・・その・・・」
「鬼神将ガイエンの剣を真っ向から受け止めたのですよ」

 が言いずらそうにしているのを見たキュウマが呆れた顔をして説明してしまった。

「なんと!」
「・・・ごめんなさい」

 ミスミ様の驚きようには思わず謝罪の言葉を口にした。
一通り驚き終わったミスミはキュウマ同様、呆れた顔をしてため息を1つ。

「鬼神将ガイエンといえば、鬼妖界の中でも1、2を争う力自慢じゃぞ。そやつの剣を真っ向から受け止めるとは、すごいを通り越して阿呆としか言いようがないぞ?」
「仕方なかったんですよ〜、気が付いたら目の前にもうそのガイエン?ってのがいたんですから。逃げようとして背中を向けたら逆に真っ二つですよ」

 スバルは「すっげーーっ!!」とか横で目を輝かせて叫んでいる。
 ミスミとキュウマはそれを見てさらにため息をついた。





     サモンナイト 〜紡がれし未来へ〜

     閑話  剣術





「まあ、大事にならなんだのならそれでよい・・・のう、キュウマ」
「ええ、召喚術を受け止めるなど、並みの召喚獣でもしない・・・いや、できないことですし」
「それは関係ないだろ」

 キュウマの返答には思わずツッコミを入れる。
 キュウマはそれを無視して尋ねた。

「しかし、貴方の戦い方は驚嘆に値するものです。一体、師は誰だったのですか?」
「ああ、俺の親父だよ。俺小さいころに目の前で母親に死なれてさ。落ち込んでたところを強引に俺に剣を教え始めたんだ」

 今じゃ稽古も楽しくて毎日やってたけどな。

 説明の最後にそう付け加える。
 彼の父親が、どこで剣術を身に付けたのかは10年近く経った今でも不明だった。




 ミスミは「よい父親じゃったのだのう・・・」といって涙をぬぐうしぐさをした。
 キュウマも同じように「いい父親をもちましたね」と言っている。

「ああ、自慢の親父だよ」

 は笑顔で答えた。
 横からスバルが顔を出す。

兄ちゃん、おいらに剣を教えてくれよ!」
「・・・・は?」
「おいら父上みたいに強くなりたいんだ。だから、お願い!おいらに剣術を教えてくれよ!」

 スバルが顔の前で両手を合わせる。
 「これ、スバル」とミスミの声が聞こえるが、スバルは見向きもせずにだけを見ていた。

「おいおい、君には立派な師匠がいるだろ?」

 はそういってキュウマを見る。スバルもつられて彼を見てるが、そんなことはお構いなし。
 ミスミの隣で、キュウマは苦笑いを浮かべた。


「・・・あー、正直な話、俺もまだ未熟でさ。他人に剣を教えられるような立場じゃないんだ。・・・悪いな」


   スバルはそれを聞いてガックリと肩を落とした。

「たまに稽古の相手くらいならしてやるから」
「ほんとかー!?」

 居たたまれなくなってつい口に出してしまった。
 スバルは目を輝かせ、喜んだ。

「キュウマとの稽古を、しっかりやってな」
「おう!」

 すまんな、とミスミが軽くに向けて一礼。それに対しては、いいんですよ、と言って彼女に笑みを向けた。

「さて、話がすんだところで、・・・そなたこれからどうするのじゃ?」
「ああ・・・そうだなぁ・・・」



 ―――ミスミ様の問いに改めて考えてみる。ここにやっかいになるというのも一つの手ではある。しかし、この世界のことを知るにはやはり島の外からきた人間たちの所に行くのがベストだろう。
 万一、拒否されたらここに厄介になればいいか―――



「島へ来た人間たちのところへ行こうと思います」

 考えた末の結果を、2人に言えば、

「そうか、まあそれが妥当じゃろうな」
「そうですね」

 2人は同じように答えて賛成してくれた。

「とりあえず今日のところはここに泊まってゆくとよいぞ」
「はい、ありがとうございます」

 ミスミ様には深く頭を下げた。






リィンバウムに来てから1日が濃い、疲れた・・・

はその晩、布団に入るや否や夢の中へ入っていった―――








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