「僕にも、手伝わせてくれないか・・・?」


 そんな一言に、一同の視線が部屋の出入り口に集中する。
 その先には、召喚呪詛と紅の暴君という二重の束縛から解放され、未だに本調子でないはずのイスラがたっていた。

「イスラ!!」

 そして、一拍子置いて子供に言い聞かせるかのような物言いで彼の名を呼びつつ、アズリアの姿が現れる。
 眠っていた彼が目を覚ますとそこは船室で、まず自分が生きていることを再認識。
 姉から自分が助かったことを聞かされて、そしてこれから最終決戦に臨もうとしていることを聞かされ、いても立ってもいられなくなった、と。
 要約すれば、こんなところだろうか。

「僕は君たちに対して、取り返しのつかないことをした。こんなことでそれが許されるとは思っていない。でも・・・」

 裏切り、拒絶、騙まし討ち。
 そして、そのすべては姉であるアズリアに嫌われるため。
 1人ぼっちになったところで、自分がアティかレックスに殺されればそれでいい。
 死にたい、召喚呪詛という拷問から逃れたいと願い、導き出た結果に基づいた行動だったから。
 そんな自分を、彼らは。

「助けてくれた。こんな僕を救ってくれた・・・それに報いたいんだ!!」

 もう、死ぬために戦うなんてことはしない。
 生きるために。レックスが、アティが、この場にいる全員が描いた夢をこの目で見たいと、純粋に思えるようになったから。

「戦わせて欲しい。死ぬためじゃなく、夢を掴み取るために」

 おねがいします、とイスラは深く、深く頭を下げた。
 今までとはうってかわったような態度に、驚きを隠せない人間も多少なり存在するだろう。
 あれだけのケガだったのだ。今この場で平然と頭を下げていられるほど、強力な治療ができるような設備もない。
 できて召喚術による傷の回復程度だろう。
 失われた体力が戻るには、時間がかかるはず。
 しかし、彼は両足で立ち、頭を下げていたのだから。





     サモンナイト 〜紡がれし未来へ〜

     第72話  決意





「顔を上げろよ。イスラ」

 は彼にそんな声をかけた。
 今までが今までだけに、簡単にすべてを許すことはできないだろう。
 しかし、彼の態度からはどこまでもその思いが伝わって来ているように感じられた。
 それが、結果として彼を動かしたに過ぎないのだ。

「・・・で、どうするんだ?」

 イスラに向けていた視線を、自分たちパーティを率いるリーダーへと向ける。
 その表情には迷いなどなく、すでに答えは決まっています、と言っているようなものだった。
 それなのに。

「どうしましょうか?」
「う〜ん、そうだねぇ・・・」

 答えなどすでに顔に出ていた。
 子供のような無邪気な笑みが、2人の間に広がっていたのだから。
 しかし、イスラにはその様子を窺い知ることはできない。
 むしろ、その笑みが自分を拒否しているような、そんな感覚にも囚われているようで。

「・・・・・・」

 表情に悲しみを宿した。

「おい、お前たち。人をからかって楽しむものではないぞ」

 そんな彼らに口を挟んだのが、呆れたようにため息をついたアズリアだった。
 2人は顔を見合わせて、やりすぎたかと苦笑する。

「答えは、言うまでもないですよ」

 にっこりとアティは笑う。
 彼がこうして頼みに来る前に、すでに答えなど決まっていたのだ。
 もし戦いたい、と言い出して来たのなら、そのときは。

「最大の笑顔をもって、君を迎えるよ。イスラ」

 短い間だけど、よろしくな。

 レックスは呆けるイスラに手を差し出す。
 和解と、改めてよろしくの握手だ。
 イスラはレックスと彼の手を数回見比べて、

「・・・ありがとう」

 今までに見たことのないような、満面の笑みを浮かべたのだった。



 それぞれが最終決戦に向けた準備に入った。
 カイルは鍛錬に精を入れ、ソノラは銃弾のストックを確認する。スカーレルはナイフの刃を研ぎ、ヤードは自らの持つ召喚石を並べて確認をする。
 戦場では、ほんの小さなミスが大惨事につながる事だってあるかもしれないのだから。
 だからこそ、入念にチェックする。

 護人たちは船で肩を寄せ合っているそれぞれの集落の住人たちへ事の次第を報告に向かっている。
 もはや、彼らの願いはたった1つなのだ。
 そのためならば、何があっても前を向いて歩くと決めた。
 アルディラも、キュウマも、ヤッファも、ファリエルも。
 凛とした表情の中に激情を込めて、最後の決戦に備えていた。

 スバル、マルルゥ。そしてユエルの3人は、パナシェや島の子供たちを引き連れて、船の周りで楽しそうに笑っていた。
 もしかしたら、心の底から笑うのはこれが最後かもしれない、と彼らなりに感じ取っているのかもしれない。
 もちろん、これが最後にならないように、もう一度帰ってきて、ここでまた笑い合おうと、その笑顔が互いに伝える。
 この島の未来・・・次世代を担うのは、彼らなのだから。

「いーいか野郎ども!! コレが最後の戦争じゃあっ! 気張らんかいっ!!」
『へい、船長!!!』

 ジャキーニ一家は、汗水たらして必死に作業をしていた。
 金属製の棒を手に、焼き加減を見極めて一気にひっくり返す。
 それこそが、カリカリのトロトロに仕上げるコツなのだから。
 ・・・そう。

「限られた食糧じゃ! 無駄にせんようにするんじゃいっ!!」
「はいなっ! あんさん!!」
『へい、船長っ!!』

 彼らは、島の住人たちにやっと認めてもらったタコ料理を、己のすべてをかけて作っていたのだ。

 そして。



 俺も準備だ、といきりたったところで、はイスラに声をかけられていた。
 その後ろにはアズリアもいる。まだ彼の身体が心配なのだろう。

「どした?」
「礼を、言おうと思って」

 自分が今、ここにいることに対する礼を。
 ただでさえ弱かった命の光が消えていくのを、彼は止めてくれたから。
 よかれと思ってやったことだとしても、それが結果的にイスラ自身を・・・ひいてはアズリアを救うことになったのだから。

「君がいなかったら、僕はあのまま・・・姉さんに悲しい思いをさせたまま死んでいたかもしれない」

 どれだけ疎まれていても、結局家族は家族なのだ。
 生まれたときからたった1人で生きている人間なんて、まずいないだろう。
 イスラだってそれは例外だったわけではなく、赤子以下の存在として敬遠されていた中、唯一。
 姉であるアズリアだけは普通に接してくれたから。
 病床のみである自分を心配してくれて、自分を1人の人間として扱ってくれた。
 だから、彼女を悲しませないためだけに『あのような手段』をとったのだ。
 結局のところ、それでも彼女を悲しませようとしていたことになるわけだけど。
 そんな自分の間違いを正してくれたに、イスラは感謝していたわけだ。

「お礼を言うほどのことじゃないし、万一俺が言ってなくても、アティとかレックスが同じ事をするよ」

 そんな一言に、ありえない話じゃないな、とアズリアは笑う。

「でも・・・」
「そんなに礼がしたいなら、それを態度に示してくれ」

 島の未来の・・・住人たちが安心して笑える場所を作るために。
 の願いも、結局のところそこに行き着く。
 まだ召喚されて短い彼だが、この場所にいることを居心地がいいと感じるようになったから。
 そんな場所を、は守りたい。
 今までに培ってきたすべてをかけて。

「・・・わかったよ」

 納得のいかない表情で、イスラはうなずく。
 しかしそれこそが、形にすることこそが誠意を見せる最大のチャンスだと思うから。
 だからこそ、この生きながらえた命をもって、その思いに応えるのだ。
 今はまだ微弱なともし火だけど、いずれは一気に燃え盛ると、彼は信じているから。





「あらん、いらっしゃい」

 というわけで、はメイメイの店を訪ねていた。
 薬の類が心もとなかったため、買い足しておこうと思ったわけで。

「ここは危ないから、早いとこ避難したほうがいいと思うけど・・・」

 メイメイは、の意見を聞いてもなお、いつもの赤い顔をしてにゃははと笑っていた。
 もしかしたら、彼女は全部わかっていて笑っているのかもしれないと、今更ながらに思う。
 そして、お酒を飲んだ後の赤い顔とふにゃっとした笑顔は、先を見据えた本当の表情を隠すための物なのかもしれないとも。

「心配してくれるのねェ・・・メイメイさん、うれしいわぁ。でも、大丈夫よ」

 自分の身くらい守れるもの、と。
 一言での意見を却下されていた。
 まぁ・・・わかる気もしないでもないけど。
 なにせ、こんな森の中に店一軒建てちゃうくらいだし。



「一応、ダメもとで聞いちゃうけど・・・」
「ん?」

 買い物のために商品を物色している途中、メイメイはぽつりとつぶやいた。
 視線を向けてみれば、顔色にはアルコールによる赤みはなく、ある意味レアなシラフのメイメイがそこにはいた。

「この島はあきらめてみんなで、別の場所に逃げるつもり、ない?」

 本気を出せばできちゃうのよ。それぐらいのことなら。

 そんなことを口走り、軽く笑う。
 確かに、逃げてしまえば話はここで終わってしまう。つらくて痛い戦いの日々は終わりを告げる。
 平穏が向こうからやってくる。
 でも。

「それはムリ。なし崩し的だったとはいえ、ここまできて逃げたくないし」

 は両手の平を見せて、彼女の提案を断っていた。
 ここで逃げたら、この世界ではやっていけないような気がするから。
 それ以前に、彼はこの場所を守りたいのだから。

「信じられない、か? にゃ、ははは・・・っ」

 不貞腐れて笑うメイメイは、どこか残念そうでもあった。
 ・・・いや。不貞腐れて、というのは語弊があるだろう。
 彼女には最初から、こんな答えが返ってくることくらいわかっているのだ。
 私に任せて万事解決! なんて、虫のいい話はありはしないのだから。

「そうじゃない。気持ちはすごいうれしいよ」

 自分たちの身を案じてくれているとわかるからこそ、言葉どおり嬉しいと思う。
 でも、ここで逃げてしまえば、この場においてという存在は無きに等しくなる。
 だから。

「でも俺は・・・たとえアティたちが逃げると言っても、ここに残るつもりだよ」

 そう告げた。
 今まで見て聞いて触れ合って、この状況で仲間たちが尻尾巻いて逃げるような人間じゃないことくらいわかっている。
 まだまだ未熟な自分に背中を預けてくれる仲間が。
 自分を信じてくれるからこそ、この場所を居心地がいいと思うし、守りたいとも思う。
 
 だから、俺は・・・

「事件が終息するまで・・・何があっても、ここを離れない」

 そんな答えに、メイメイはいつもの赤い顔に戻って、フラれちゃった〜、などと言いつつ笑って見せた。
 楽しげに笑う彼女を眺めていて、気がついた。
 この戦いとは無関係な、1人の女性がいることを。
 ケガの影響で満足に動くこともできず、さらにこの島にいる意味がない女性がいることを。


「メイメイさん」
「にゃは・・・ん?」
「俺たちの代わりに、つれてってやって欲しい人がいるんだ・・・今、つれてくるから!」

 は一息で言い切り、店を飛び出した。
 今、彼女は島のみんなと一緒に船の近くにいる。きっと、木を背中に、無常にも流れていく時間の中に身をゆだねていることだろう。


 ●


「・・・いい加減に離して。自分で歩けるから」

 1人の女性を引っ張って、再び赤い扉を開く。
 メイメイは占い用の机に頬杖をついて、お茶をすすっていた。

「そのコね。連れて行って欲しい、っていうのは?」

 メイメイの問いに、は大きくうなずいた。
 女性――ヘイゼルは眉間にしわを寄せて、が握っている右手を眺めている。
 そしてメイメイの一言に、すべてをあきらめたかのように瞼を閉じた。

「彼女は、自分の意思でこの島にいるわけじゃない・・・というか、俺が助けたんだから、責任をきっちり取ろうと思ったんだ」

 重症を負って動けなくなっていたヘイゼルを背負い、リペアセンターへ連れて行ったのはで、何度も見舞いにも行ったし、身の上を聞いた上で彼女のこれからを話し合いもした。
 ・・・話し合いというには、おこがましいような気もするが。

「彼女を連れて行くことが、責任を果たすことにつながると?」
「・・・俺はまだ、子供だから。本当の意味での責任は、取れてないと思う。でも、コレが今、俺にできる最善だと思うから」

 たまたま居合わせているだけの彼女に、自分たちの無茶を押し付けるわけにはいかないし、なにより自身がそれを是としない。
 最初にお見舞いに行ったときから、今にも死にそうな顔をしていることに変わりはないのだが、

「勝手に決めないで。私は、このまま島と共に滅んでも・・・」

 いいの、と言おうとする口を、手の平を突き出すという形で止める。
 こんな形で、せっかく救われた命を無駄にはして欲しくないから。

 ・・・生きて欲しい。
 死を望んでいる人間に対して、誰もが口にする言葉だろう。
 しかし、死んだ方がマシだという現実もある。
 ヘイゼルの生い立ちはむしろ、後者であると考えてもいいだろう。
 そうなれば、この一言はただの自己満足になってしまう。

 そう。
 どうせただの自己満足だ。
 まだ自分の前で、人を死なせたくないと思う、彼のエゴだ。
 でも、彼はこの言葉を口にする。

「生きて欲しい」

 ヘイゼルの目が見開かれる。

「島は滅ぶことはない。だから、ここに残っていても・・・君の願いは叶わない」
「・・・っ」

 所詮は人間の言うことだ。
 神様じゃない以上、その言葉が現実になるとは限らない。
 勝てば島が滅ぶことはないし、万一負けてしまえば、ディエルゴが世界を相手に破壊の限りを尽くすだけ。
 死ぬことはできるかもしれないが、

「君には今、人生で最初の選択肢を提示されてるんだ。有効に使って欲しいと俺は思うわけで」
「この異変の中、貴方が生き残っているなんて普通、思ったりなんかしないわよねえ?」

 そんなメイメイの追い討ちのような一言に、ヘイゼルは小さく声を上げた。
 今この状況で、1人置き去りにした彼女が生きながらえることができるはずがない。
 今頃は平和な空の下にいるだろう無色の派閥の幹部連中は、そう考えているはずだ。
 それを見越してのメイメイの一言だ。

 ・・・揺らがないわけがない。

「君は、もう元気なんだから・・・やり直せる。この先、君を縛るものも存在しないんだ」

 彼女を縛っていた派閥は、遠く空の下。
 あの戦闘で負けることで・・・重症を負うことで、それを代償に彼女は『自由』を手に入れた。
 しかし、この自由という2文字が曲者だ。

「これから先は、何も与えられることはない。自分から動かないと、前へ進めない」

 それが社会というものだ。
 働かざるもの、食うべからず。
 そんな言葉がしっくりくるような・・・その言葉を体現したかのような世界だ。

「自分でもう無理だと決め付けるから、先へ進めないんだよ。ヘイゼル?」

 彼女の表情に変化はない。
 で、これ以上の説得をあきらめた。
 ・・・ここから先は、彼女自身が決めるべきことだから。

「君には、光の中で自由に生きる権利が与えられた・・・今までの分、幸せになって欲しい」

 とても、子供が吐くようなセリフじゃないと思う。
 言ってから、恥ずかしいこと言ってるなぁ、なんて思い返して顔を真っ赤にして、メイメイに笑われたりして。
 ともあれ、言うことは言った。
 自己満足ではあるものの、自分がヘイゼルに対してできる最善をやり尽くした。
 ・・・思い残すことはない。

「それじゃ、メイメイ・・・元気で」
「貴方こそ、ね・・・死んじゃダメよ?」
「・・・とーぜん」

 は振り返ることなく、店を出た。
 太陽の光が視界を覆い尽くして、その眩しさに手をかざす。

「アティ・・・レックス・・・」

 店の前には、アティとレックスが苦笑しながら立っていた。
 どこか手持ち無沙汰で、慌てているようにも見受けられる。
 なぜかと言えば、

「・・・あ、あの・・・ふ、不可抗力だからな?」
「そうですそうです。立ち聞きしようなんて、思ってませんよ? たまたまですよ、たまたま」

 わたわたと弁解を始めた2人を眺めて、大きくため息をつく。
 立ち聞きをしてしまった事実にではなく、年上に向かってずいぶんとえらそうなこと言ってしまったという軽い自己嫌悪だ。

「待っ・・・っ!?」

 次の瞬間、店から出てきたのはヘイゼルだった。
 いつの間にやら増えている人影に、最初の勢いはしぼんでいく。
 は振り返ることなく、アティとレックスはヘイゼルに笑いかけて、

「俺たちからも一言、な」
「ええ」

 互いにうなずいた。

「楽な道を選んじゃダメですよ? 人間は努力してこそ、報われるものですから」
「俺たちは俺たちの道を行く。だから、君も君の道を進んでいこう」

 教師らしく、言い聞かせるように口にされたこの言葉が、彼女にどう働きかけただろう。
 そんな疑問が思い浮かんだところで、確認することには意味はない。
 だからこそ、ゆっくりと止まっていた足を動かした。

「がむしゃらに進んでいった道の先には、きっと・・・君にとっての幸福が、待ってると思うから」

 お互いに頑張ろう!!

 レックスは最後にそう告げて、アティと同時にヘイゼルに背を向けた。
 ゆっくりとの後に続く。

「い・・・一方的、すぎるじゃないの・・・っ!」

 ヘイゼルの声が聞こえた。
 彼女の言うとおり、こちらから一方的に話して聞かせただけ。
 それでも、その一言一言は、彼女の心の深い部分に届いていると願いたい。

「私は、貴方に・・・貴方たちに・・・っ! お礼ひとつさえ、まだ言ってないのに・・・!!

 ・・・ああ、やっぱり。
 俺の言葉は、ちゃんと届いていたんだ。

 今までを振り返る。
 何を言っても応答してくれないこともあった。
 一歩的にしゃべるだけしゃべるだけということもあった。
 邪険にされる事だって、少なくなかった。
 でも、この一言で、自分は責任が果たせたんだと思うことができる。

「無茶よ、貴方・・・ 足の怪我だって、まだ完全には・・・」

 痛みに表情がゆがみ、膝をつく。
 リペアセンターで治療を受けたときには、まだ激しい運動は控えろと言われていたこともあったから、奔ろうとしたところで激痛が走り抜ける。
 それでも、彼女は叫び続けた。

「本当の名前、だって・・・まだ、教えてあげてもないのに・・・っ」



 ――なぁ。レックス、アティ・・・


 ――?
 ――?



「聞いて・・・っ!!」



 ――俺、責任・・・果たしたよな?



「私の、本当の名前は・・・名前は・・・っ!!」

 背後で瞬く眩い白光。
 聞こえてきていた声もかすかになり、肝心の彼女の名前は結局聞けずじまい。
 それでも、彼らは満ち足りていた。




 ――もちろんさ。
 ――もちろんです!







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