「り、リィンバウムって・・・お前さん、あの4人と同じ世界から召喚されたんじゃ・・・」
「そうといえばそうなんですけど、初めは元の世界から帝国の小さな島に召喚されたんです」
「君を召喚した人間は?」

 レイドの問いに、「いないですよ」とはさも当然のように答えた。

 普通、召喚獣には召喚主がいるはずだ。しかし、彼は「いない」と答えたことに、彼を除く全員が怪訝な顔をする。



「召喚主がいないなんてこと、あんのかよ?」
「確実にないとは言い切れないと思うが・・・その辺りは専門家に聞いたほうがいいと思う」

 ガゼルが全員を対象にした質問を投げかけると、顎に手を添えたレイドがつぶやいた。
 みな、召喚師とは面識が無く、特にガゼルは召喚師という人種を毛嫌いしているので、専門的な知識があるわけではない。

 よって、今この場にいない4人の召喚師が来るのを待つ以外、方法は無かった。

 はとりあえず、今いるここがどこなのか、自分の置かれた状況がどのようなものなのかなどといったことを聞きつつ、これからどうしようかと考えた。




    
サモンナイト 〜築かれし未来へ〜
    第03話  フラットへようこそ?





「で、お前さんはこれからどうするんだ?」
「そうだなぁ・・・」
「みんな、ここで一緒に暮らすことはできないかい?」

 提案したのはトウヤだった。

「ほら、はまだ召喚されたばかりでこの辺りのことがわからないだろう?だから・・・」
「そうだねぇ、それにオプテュスのヤツらにはもう目、つけられちゃっただろうしネ」
「オプテュスの連中、今まで見てた限りでは結構しつこいみたいだしな」
「私たち4人にはつもる話もありますし・・・」

「彼らはそう言っているが・・・君は、それでいいかい?」

 トウヤ、ナツミ、ハヤト、アヤの順でをフラットへ入れさせようと口々に言うと、レイドは苦笑いを浮かべてに問う。
 は、しばらく考えた後で、

「・・・うーん、なんかまた厄介ごとに巻き込まれたみたいだし、それが片付くまで・・・お世話になります」

 はゆっくりと頭を下げた。

「ま、さっき手助けしてもらったこともあるしな」
「ワシは大歓迎だぞ」

 口々に歓迎の言葉をに向けて投げかける。
 頭を上げたは、頭を掻きつつ笑みを浮かべた。

「それじゃ、これからよろしく!」








『フラットへようこ・・・そ・・・?』






 ピーピーピー・・・・!!






 広間に電子音が響き渡る。誰だ、誰だと互いを見るが、フラットの人間が電子機械を持っているわけでもなく。視線はたった今歓迎されたばかりのに向けられた。

「え、え〜っと・・・あぁ!!」

 ぽん、と両手をあわせてポケットに手を突っ込むと、小さな箱状のソレを取り出した。
 ソレにはいくつかのボタンが配置してあり、はどのボタンを押そうか迷っている様子。



「・・・早く止めろよ、ソレ」
「悪い・・・えっと、あれ?」

 ガゼルが気だるそうに頭を掻く。




 
ピーピーピーピー・・・・・!!!




 電子音はさらにけたたましく鳴り響く。

・・・これじゃないかな?」
「あ・・・」

 トウヤがボタンをポチッと押した。





『あっ、つながったわ・・・今まで何やってたのよっ、っ!!!』





 ノイズが少し混じりながら、女性の声がけたたましくソレから聞こえ始めた。

 ソレとは、が島を出るときに渡された通信機だった。「ボタン1つで通話ができます」と聞いていたにも関わらず、彼はボタンを押すのを迷っていたのだ。
 は自分が機械オンチであることをここで認識しつつ、ボタンを押してくれたトウヤに礼を言って、その場の全員にあやまりながら外へ出た。






















『返事をしなさいっ、っ!?』
「はいはい、悪い。ちょっと立てこんでてさ」

 母親が子供を叱りつけるように聞こえる声に対して息を吐くと、通信機のスピーカーに向けて声を出す。

『急に反応が消えたかと思ったら・・・今ごろになって反応し始めたから急いで連絡を入れたのよ!!』
「だからゴメンって。実は今、聖王国のサイジェントってとこにいるらしいんだ・・・ってか、反応って何?」
『サイジェント!?』
『サイジェント・・・聖王国の最西端に位置する工業都市。この島からだと、船で一月はかかる距離ですね』

 の質問を無視して、割れるように大きな声が通信機から発される。
 さらに、街の名前を叫んだ声とは違う、少女のそれに近い声が聞こえた。

「クノンもいるみたいだな。とりあえず・・・久しぶり、アルディラ」

 最初の女性の声で、息を吐く音がスピーカーから聞こえてくる。

『本当よ・・・久しぶりすぎるほどにね』
「・・・は?」

 彼女に貴方がいなくなったことを伝えたら、ボロボロ涙流してたわよ。みんな心配してたんだから・・・

 お仕置きの一つや二つは覚悟しないとダメね、これは・・・などと通信機の向こうでお小言のように女性はつぶやく。
 お仕置き、という言葉にびくりと震えるが、はとりあえずそれを押さえつけた。

「一体、何言ってるんだ?・・・”久しぶりすぎる”って?」
『そっちこそ、何でそんなこと聞くのよ?』

 質問に質問で返す彼女は3回目のため息を吐いて、

『貴方が島を出てから、もう20年近く経ってるのよ?』
「・・・は?」

 は彼女の言葉に、同じセリフを吐く。
 20年。自分の年齢よりも長いその期間に、冗談だ。きっと心配させた報復なんだと決め付けて、

「またまた、そんな見え透いた冗談なんか信じないよ?」
『・・・なんで冗談なんて言わないといけないのよ・・・』
「・・・・・・」
『・・・・・・』
「・・・え、ええと」

 通信機の間で数秒の沈黙が流れる。











「マジでかぁ〜〜〜っ!?」
『マジよ』











 の声が、サイジェントの街に響き渡った。








第03話でした。
誓約者’sの影が異常に薄い・・・
なんだか3キャラが出張ってるし・・・
一応書きたかった場面が書けてよかったです。




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