「って〜・・・」



 打ち付けた腰をさすりつつ、立ち上がる。

 刀を拾い、きょろきょろと見回した。




 背後には白い人と、男たちの集団。

 正面には知った顔が4人と、残り。







「「「「っ!?」」」」

「・・・やあ、久しぶりだな。ハヤト、トウヤ、ナツミ、アヤ」





 ひらひらと手を振り、は彼らの声に答えるのだった。





     
サモンナイト 〜築かれし未来へ〜
     第02話  巻き込まれ体質





「・・・ンだァ、お前はァ?」

 バノッサが怒りの表情をあらわにして、に向けて言い放つ。



「・・・・・・」



 ひとときの間を置いて、

「・・・もしかして俺、修羅場の真っ最中に登場しちゃった?」

 前から思ってたけど、俺ってつくづく巻き込まれ体質だよなぁ・・・

 緊張感のカケラもない口調で、はつぶやいた。









「おい、アレ・・・誰だよ?」
「ああ・・・俺たち4人とは、友達だよ」
「アヤとは幼馴染ってカンケイでもあるのよねぇ〜」
「ナツミさんっ、茶化さないでくださいっ!!」

 状況のつかめていないガゼルとレイド、エドスに向けて、説明を施した。









「・・・チッ、もういい!お前が何だろうと、関係ねェ!」

 お前を先にブッ殺してやる!!

 バノッサは双剣を、彼の声にあわせてごろつき達がいっせいに武器を手にした。









「おい、君!」
「え?」

 レイドがに向けて叫ぶ。
 敵が迫っていることを告げようとしているようだ。

「・・・大丈夫っすよ。ここは俺に任せて、先行ってください」
「な、なんだとぉっ!?」

 の発言に、エドスが声を上げた。










「行くぜェっ!!」
「・・・!!」

 先頭を切ったバノッサが、双剣をクロスさせたまま左右へ振る。
 は双剣が振り切られる前に、交差している部分に左手の刀で鞘ごと押し込んだ。振るうはずの剣が動かなくなり、静止した一瞬を狙って、彼に拳を叩き込む。

 バノッサは腹部への強烈な衝撃に耐え切れず、地面に伏した。


「「バノッサさんっ!!」」


 部下であろうごろつきたちの声があがる。


「ささっ、今のうちに!!俺も、後から追いかけますから」
「・・・わ、わかった。みんな、行こう!」
「「「「・・・っ!!」」」」
「おら、行くぞ!!」


 4人は、ガゼル、エドス、レイドに引きずられて荒野を去っていった。
 レイドの隣にはをうかがう少女の姿もあったが、すでに彼はごろつきたちへ視線を向けており、彼女には表情を読み取ることはできなかった。

















「さて・・・あー、君たち。ここは大人しく退いてくれないか?」

 ほら、この人もこんな調子だし。
 の目の前に倒れているバノッサをよいしょと持ち上げ、つかつかとごろつきたちに歩み寄り、ドサリと降ろした。

「バノッサさんをやらされて・・・」
「かかってくるなら、容赦はしないぞ」

 1人の声をさえぎり、親指で刀をちらつかせる。
 ごろつきたちに、緊張が走った。

 無理もない。自分たちの中で一番強いはずであるバノッサが、一撃で沈められてしまったのだ。しかも武器を受け止めるだけにしか使っていない。自分たちが束になっても勝てないのは目に見えていた。

「・・・チッ」

 声を上げようとした男が舌打ちを1つ。


「よっしゃ。それじゃあ!」


 はひらひらと手を振り、街の方へと走っていった。




















「そんな・・・つまり、俺たち4人はただ偶然ここに来てしまったってだけなのか・・・?」
「そういうことになる・・・」
「おい!なんだよ、それは!?事故でした、で済む話じゃないだろうが!!」

 帰る途中で出会った召喚師の4人にガゼルが声を荒げる。
 順にキール、カシス、ソル、クラレットといい、ハヤトたち4人がリィンバウムに召喚されたいきさつを知っているという。彼らは、先に結論として事故で喚されたことを4人に告げ、その理由を述べた。

 とある召喚の儀式が失敗したことによって、事故という形でこの世界に召喚された。

 これが結論に対する理由。簡単な理由ではあるが、召喚術のことを何も知らない自分たちには、他に解釈のしようがないことは目に見えていた。

 すごむガゼルに向けて、キールは言い返すように言葉を発する。

「それぐらい、僕たちにだってわかってるさ。だから・・・」
「あたしたちが、必ずキミたちを元の世界に戻して見せるから!」

 グッと、カシスが拳を握る。

「事故だと、すぐには彼らを元の世界に戻せんのか?」
「・・・無理なんです」

 消え入るようなクラレットの返答に、やはりガゼルが声を上げた。

「儀式をしていた召喚師は、みな死んでいます。見習いの私たちだけが唯一の生き残りなんです」

 召喚した召喚師が死んでしまった場合、残された召喚獣は元の世界に帰る方法を失い、はぐれとして生きていくことを余儀なくされる・・・召喚師ではない人間でも知っている事実だった。

「なにか・・・なにか、方法はあるはずですから」
「俺たちが全力で元の世界に帰る手伝いをするから、さ。だから・・・」

 一緒に暮らすことを許してくれないだろうか?

 ソルは7人に向けて深く頭を下ろした。残りの3人も同様に頭を下げている。
 ガゼルが激昂しているのを横目で見つつ、4人は困惑した。







「お〜い!!」






「「「っ!?」」」

 荒野に声が響く。
 ガゼル、エドス、レイドの3人は警戒心を強めつつ声の方向を見やると、が刀を腰に走ってきていた。

「・・・っ!?」

 アヤは彼を見て声を漏らす。
 召喚師である4人も、頭を上げてを視界に入れた。




「・・・やっと、追いついた・・・」

 彼らのもとへたどり着いた途端、は肩で息をしつつ一言発した。

「おい、オプテュスのヤツらはどうした?」
「おぷてゅす・・・?」
「さっきの連中のことだよ」

 ガゼルの質問にさらに質問を重ねたに向けて、レイドが説明を加えた。

 オプテュス。サイジェントの街の北スラムを根城とする、ごろつきたちの集団。先ほどが倒したバノッサを筆頭に、かなりの数のごろつきたちがいるのだそうだ。


「それなら、バノッサ・・・だっけ?彼を渡して、こっち来ちゃった」
「はぁっ?」
「だから、バノッサ渡して、置いてきたって・・・」

 疑り深くの顔を覗き込み、声を上げる。はさらに同じ答えを彼に向けた。

「と、とりあえず、フラットへ戻りませんか?ここだと、またいつ襲われるかわかりませんし・・・」
「・・・ケッ、しかたねえな」
「とりあえず、君たちも一緒に来てくれないか?」

 アヤの提案によって、ガゼルはいったん怒りを収め、帰路についた。
 もちろん、と4人の召喚師たちも一緒だった。


























「・・・どうしてあいつらまで連れてきちまったんだよ?」
「だって・・・あのまま放っておけないだろう?」

 フラットに戻った面々は、広間にて顔を合わせていた。
 その中には、がなぜか混じっている。
 ガゼルが本当にイヤそうな顔で尋ねれば、トウヤがさらに聞き返した。

「うーん、お前さんたちのことについていろいろと教えてもらったこともあるしなぁ」

 エドスがつぶやくと、廊下へと続く扉が開く。

「・・・リプレには事情を説明してきたよ」

 扉をくぐりつつレイドがつぶやいた。
 ガゼルがなにかを伺うように尋ねるが、レイドは首を「特には」と横に振った。

「・・・何もなければいいんだがなぁ」
「それより、今は彼のことを聞くほうが大事なんじゃないのかい?」

 レイドの声に、全員が視界にを収める。は、空笑いをしつつ、頭を掻いた。
















「あの4人と面識があるというのは本当かい?」
「彼らがそういうなら、そうだと思います」

 レイド、エドス、ガゼルが4人を見れば、彼らは同時にうなずいた。
 視線を戻し、ごほん、と咳払い。

「名前は?」
 。リィンバウムに召喚されたしがない、いち召喚獣です」
「「「「!?」」」」

 いわゆる『はぐれ』ってやつですね。

 『はぐれ』という言葉を聞いた途端、彼を知る4人は肩を落とした。

 彼は要らぬ発言をしたらしいが、まったく気づいている様子はない。
 もともとはぐれしかいなかった島に召喚されたのだ。無理はない。


「・・・俺、なんか悪いこと言ったか?」
「まぁ、そうだといえばそうなんだが・・・」

 とりあえずこの場にいる人間だけで、軽く自己紹介をした。
 この世界に聞き覚えがあるか、召喚術は知っているか、などといった同じような質問が、レイドの口から発されていく。

「で、お前さんはどっから召喚されてきたんだ?」
「リィンバウムだよ」
「「「・・・・・・・」」」

 沈黙。

「はぁっ!!??」



 ガゼルの声が、フラットに響き渡った。










第02話でした。
誓約者4人とパートナー4人衆の
口調がいまいちわかりませんが・・・
おおめに見てやってくださいぃ〜・・・





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