「おっはよ――ネギ君っ♪」
「おはよ――ネギ先生―っ!」

 それなんの遊びや―?

 亜子の言うとおり。
 ネギは明日菜に担ぎ上げられて登校していた。
 彼は涙をちょちょぎらせていたが、

「お、おろしてください〜〜〜」

 エヴァンジェリンさんたちがいたらどーすんですかーっ!

 彼が登校を拒否する理由は、これである。
 昨夜の一件。エヴァンジェリンとの一件だった。
 明日菜に助けられてエヴァンジェリンと茶々丸を相手にして。
 パートナーの重大さを思い知らされた。

 彼女は魔力を封じられているとはいえ、強力な魔法使い――真祖の吸血鬼である。

「あ、アスカ。おはよ」
「おはよ、明日菜」

 大変そうだね、と苦笑してみせたのだった。



魔法先生ネギま! −白きつるぎもつ舞姫−
ミニステル・マギ



「ホントよ、こんな手のかかるガキ押し付けてくれちゃってさ。あ、それでちょっと相談があるの。昼休みにでも付き合ってよ」
「へ? あ……うん、わかった」

 そんなこんなで、教室に入ると。
 ネギは即エヴァンジェリンの席を見やり、いないことを確認するとため息をついた。

「マスターは学校にはきています。すなわちサボタージュです」
「わぁっ! 茶々丸さんっ!!」

 呼んできますか、とたずねられたネギは、すごい勢いで首を横に振った。
 ぺこりと頭を下げる茶々丸だったが、彼女もアレで一応エヴァンジェリンのパートナー。
 彼の悩みの種の原因だったりする。

 彼の異変は、授業が始まってもそれはもう丸わかりだった。
 授業中にもかかわらず教卓に突っ伏してため息を何度もつくし、クラスメイトたちをぼーっと見回すし。

(ねえ、なんかネギ先生の様子おかしいよ?)
(うん、ポーっとした目で私たちを見て……)
(あんなため息ばかりだし……)

 そんな彼の様子を見てひそひそ話をしている中で、アスカは苦笑したのだった。

(ねえねえ、アスカは何か知らないの?)
「え?」

 前の席には裕奈が座っている。
 彼女が後ろに振りかって話し掛けてきたのだけど。
 魔法と魔法使いの存在をすでに知っている裕奈に話すべきか否か、迷う。
 というか、アスカから見てエヴァンジェリンの他に何か悩んでいるように見えて仕方ないのだ。
 さすがに、その内容まではわからないけど。

「センセー、読み終わりましたー」
「えっ!? はっはい、ご苦労様です和泉さん……あの、つかぬ事をお聞きしますが」

 眉尻を下げ、ネギは教科書を持ってたったままの亜子に向けて、

「和泉さんはぱ……パートナーを選ぶとして、10歳の年下の男の子なんてイヤですよね――……」
「なっ!?」
「えええっ!?」

 彼の爆弾発言に反応したのは、日頃からネギをネコっかわいがりしているあやかと名指された亜子だった。
 あたふたと慌てふためき、顔を赤く染めつつ言葉にならない言葉を発していた。
 次に話はのどかに振られるが、彼女が答えを口にする前にあやかが勢いよく立ち上がる。
 もちろん、「超OKだ」と。

「ネギ先生。ここで耳寄り情報♪ ウチのクラスは特にノー天気なのばっかだからね。大体5分の4くらいのやつらは彼氏いないと思うよ」

 私の調べだと。

 自称麻帆良パパラッチの和美が面白いもの見つけたといわんばかりにネギにそう告げるが。
 それを聞いてネギが慌て始めたところで、授業終了の予鈴が鳴ったのだった。

「なんか、パートナーがいなくて困ってるみたいよ」

 そんな明日菜の言葉を残して。













「そっか―、ネギ君やっぱり王子様だったんだ」

 立候補しようかな、と。
 桜子のそんな言動から、ネギ王子説が再び浮上し始めた。
 そんな中、アスカは。

「なぁ、アスカ。もしかして、さっきのパートナーって……」
「うん。僕みたいな“魔法使いの従者ミニステル・マギ”のことだね、きっと。だいぶテンパってるみたい」
「で、そのパートナーって、どうやって見つけるの?」
「う〜ん……」

 亜子と裕奈にパートナーのことについて問い詰められていた。
 正直、答えに困る。
 これに答えてしまえば、アスカはネギの姉であるネカネとの関係がわかってしまうから。
 とはいえ、所詮は仮契約の立場だからして。

「簡単な方法なら、キスすることかな」
「「キス?」」

 こう、ぶちゅ〜っと。

 唇を尖らせて、わざと大げさにキスのしぐさをしてみせると。
 2人とも顔を真っ赤にしてしまった。

「まぁ、仮契約の状態だから。あのカードは使えるけど……とりあえず、ネギ先生のことは僕と明日菜に任せておいてよ。あ、それと……」
「「?」」

 急にまじめな表情へと変わったかと思うと、2人を赤い瞳が打ち抜く。
 ちょいちょいと近くに寄るように促すと、アスカは2人にずいと顔を近づけた。
 アスカを男だとわかっているからか、2人は紅潮するが。

「まき絵に、気をつけてね」

 かまうことなく、アスカはそう口にした。
 なんで、と言わんばかりの2人の視線が、アスカを射抜くが。

「まき絵、吸血鬼に噛まれてるんだ。吸血鬼に噛まれたらどうなるか……御伽噺とかで聞いたことあるでしょ?」
「もしかして……」

 つぶやいた裕奈にうなずくと。

「裕奈がいま考えたとおり。もう半分吸血鬼になっちゃってるから、事情を知ってる2人には伝えておこうと思って」

 告げた。
 吸血鬼……特に真祖に噛まれ血を吸われた人間は、その吸血鬼の操り人形と化す。さらに同じ吸血鬼となってしまうため、周囲に人間がいればその被害は拡大してしまう。
 まき絵からすれば失礼極まりないのだが、これもその被害の拡大を阻止するため。
 ヘタをしたら、ネギにまで被害が及ぶかもしれないから。

「できれば、ネギのこと慰めてあげてよ」

 よろしくね、とアスカは2人に微笑んだのだった。






エヴァ編、時間かかりそうです。
まぁ、コミックでも3巻を丸々一冊分使っていますし、なるべく短くする方向でいきたいと思います。
ってか、今回は手抜きっぽいなぁ……


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