昼休み。 「それっ、女子高生アターック!!」 長く黒い髪をはためかせてバレーボールを打ち出す。 ボールは勢いよくアキラへと一直線に向かい、受けきれずにあさっての方向へ飛んでいってしまった。 クラブ棟で対峙するのは中等部と高等部の制服。 広場の一角を陣取って遊んでいた中等部に高等部のメンバーがつっかかってきていたのだった。 「ウチら、先生に伝えてくる!」 そう言って亜子とまき絵がその場を離れてから数分が経過している。 ちなみに、アスカは端に位置して事の顛末を傍観していた。 「あんたたち中等部なんて私たち高等部に比べたら、お子ちゃまなのよお子ちゃま!」 わかった? 薄ら笑いを浮かべながら、見下すようにボールを打ち出した女子高生は裕奈の首根っこを掴み、追い出そうと引きずろうとしたときだった。 「大人気ないなぁ……」 聞かれないようにぼそりと呟く。 それでも彼女たちには聞かれてしまっていたようで。 「なんですってぇっ!?」 「うぇっ(聞かれた!?)」 あちゃー、といわんばかりに後頭部へ手を移動させる。 すると、一斉に端のアスカに向けて女子高生がつめよりはじめた。 「なによ、あたしたちがアイツラよりもお子様だって言うの!?」 「アンタだってお子ちゃまでしょ!?」 発される言葉のマシンガンに目を伏せ耳をふさぐが、ほとんど意味をなさないほどにハッキリと声が聞こえる。 「くだらない理由で僕たちをけしかけて」 僕たちのほうがよっぽど大人だと思うけど? 先に場所を取っていた自分たちに対して、後から来て場所を取ろうとしている女子高生たち。 どちらが悪いかと言えば、間違いなく女子高生たちが悪いとみんなが言うだろう。 だからこそアスカは開き直り、冷ややかな視線を向けてそう口にしていた。 魔法先生ネギま! −白きつるぎもつ舞姫− 口ゲンカ 「う……うるさいわねっ、生意気よっ!!」 女子高生の1人がアスカに対して腕を振り上げる。 口で勝てなきゃ暴力か。 そんなことを考えて、このあとどうしようかと思案していたアスカだが。 「アスカっ!?」 誰ともなく名前を叫ぶ。 まさに、振り下ろされようとしたそのときだった。 「まっ、待ちなさーいっ!!」 聞きなれた、その声は。 「ネギ坊主!」 亜子とまき絵が連れてきたネギだった。 彼はアスカたちがいる場所までかけてくると、涙を目に溜めて、 「い……いじめはよくないことですよっ!?」 僕、担任だし怒りますよっ!? そうまくし立てるが、彼はやはり10歳。 影響力など皆無で。 『キャ〜〜っ、カワイイーっ!!』 逆に囲まれてしまっていた。 「あぁ、なんか既視感が……」 つぶやいたのはもちろんアスカである。 ついこの間、同じような体験をしたばかりなのだから、仕方がないのだ。 「いい加減におよしなさい、おばサマ方!!」 「な、なんだとコラァっ!!」 叫ばれ、ボールをぶつけられることでネギから声の主へと全員が振り向くと。 「アスナさん、委員長さん!?」 叫んだのはあやか。 ボールを投げたのはアスナだろう。 「ここはいつも私たち2−Aの乙女が使っている場所です」 乙女、という言葉にアスカは複雑な表情をするが、そんなことに構うことなくあやかは【年増】と言う単語の部分を強調して、 「高等部の年増の方々はお引取り願えます?」 そう口にしていた。 今の状況では火に油を注ぐようなもの。 「な、何ですって〜!?」 やはりと言うべきか、なんというか。 高等部の方々は顔を赤くして激昂した。 「あんたはちょっと黙ってて」 さらにネギの話へと発展させようとしたあやかを横から制し、明日菜がずいと進み出る。 「とにかく帰ってください。センパイだからって、力で追い返すなんてちょっとひどいんじゃないですか!?」 「あら、言ってくれるじゃない」 「あんたたち、色々でしゃばって高等部でも有名だけど……」 センパイの言うことには大人しく従うことね。 この言葉が頭にきたのか、明日菜はその表情を冷ややかなものへと変えていく。 「アスナ、アスナ」 「何よっ!?」 トントン、とアスカは彼女の肩を軽く叩く。 がー、とかみつくように返事をすると、アスカは多少後ずさりながらも腕時計を見せる。 「もう、こんな時間。教室戻らないと授業に送れちゃうよ?」 ほらほら、いいんちょさんも。 アスカは笑ってあやかの背中を押し出す。 「ちょっと、アスカさん!?」 みんなも行こうよ、と2人の言い合いを眺めていたみんなにも声をかける。 一度背中を押す力を弱めると、唖然としている高等部へと首だけ向けて、 「大人気ないですよ、先輩がた。貴女たちは仮にも私たちのセンパイなんですから、もう少し大人なところを見せてもらいたかったです。僕たちよりも早く生まれてるんですから」 満面の笑みを貼り付けて、そう言い放った。 アスカも、『センパイの言うことには従え』という彼女たちの言動に怒りを覚えていたのだ。 ちょっと早く生まれたくらいで威張り散らすな、と。 「〜〜〜〜〜っ!!」 「ほらほらぁ、もうチャイム鳴っちゃうよ?ささ、ネギ先生も」 「あぁっ。ちょ、ちょっとぉ……」 こみ上げる怒りに声も出ない彼女たちを尻目に、アスカはこの場を離れることを全員に言うことでその場を離れたのだった。 このとき、アスカの背後になにやら黒いものが見えていたというのは、また別の話である。 「ありがとう、アスカ。僕じゃどうしようもなくて……」 「僕だって、厄介事はゴメンだよ。だから、わざと腕時計の時間を進めてまであそこを離れたんだから」 実は、まだ授業までは10分ほど時間がある。 教室に戻れば、ちょうどいい時間になっているだろう。 「困ったときはお互い様だよ。ネギ先生?」 そう言って、アスカは彼に向けて微笑んだのだった。 「次の授業って、なんだっけ?」 「え、体育だけど……」 答えたのは裕奈で。 アスカに、試練が起ころうとしていた。 第12話。高校生とのケンカ話です。 時間進め作戦、結構いい案でないかと思います。 タカミチ出る幕無し・・・。 |
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