Anti-MagiLink Field―――略してAMF。
 高位のフィールド系防御魔法。
 魔力結合をきる、とか仕組みはよくわからないけど、しかしもって厄介だと思う。

「……困ったなぁ」

 自身の身長ほどのハルバードを携えた、茶髪の少女――エミリアは眉をしかめた。
 こっちの味方は自分を含めて6人。反対に、敵ガジェットは12体。単純にこちらの2倍の頭数。
 ミッションの完了目標は、ガジェット12体の破壊または捕獲。
 口にするのは簡単だが、遂行するのは今の自分たちでは至難の業、といったところか。

 その要因として挙げられるのが、敵の速さ。
 素早い上に魔力を感知でもしてるのか、こちらの攻撃はふわりふわりと避けられてしまう。

 スバルの撃った魔力弾も、キャロによる威力強化付きティアナ十八番の射撃魔法もAMFで防がれる。
 エリオ渾身の魔力斬撃も、空振り。
 フォルテはもともとパワー型の戦闘スタイルだ。今回みたいな相手には相性が悪い。攻撃をことごとく避けられて、どことなくイラついているように見えた。
 そして、自分も。

「射撃魔法は結構得意なんだけどな……てか、魔法無効ってタチ悪すぎ」

 おそらくフォワード内で唯一、飛行資質を持ち合わせたエミリアも頭上から魔力弾の雨を降らせたにも関わらず、まったくの無傷。
 …………今までつけてきた自信に、ひびが入りそうだ。

『エミリア、そっちからはどう!?』

 そんなときだった。
 頭に響くティアナの声。
 魔導師同士の連絡手段として使われる念話は、魔導師の必須スキル。
 もちろん、エミリアだけでなく皆が使えるお手軽な魔法でもあるわけだが、現状、聞こえてくるのはほぼティアナの声だけだったりする。
 なぜなら。

「うーん、動作にパターンはなさそうだよ。AMFの広さがわからないから、こっちは迂闊に近寄れないし……あ、スバルっちだいじょぶ!?」

 彼女が指揮を執っている形になっているからだ。
 もっとも、指示そのものは理にかなっていて動きやすいので、彼女が司令塔であることについてはまったく異はないわけだけど。

『うん、なんとかね……ちょっと走りすぎた』

 たはは、とスバルは苦笑い。
 彼女の得意な空中を走る魔法『ウイングロード』すらもかき消されて、廃屋のなかに思い切り突っ込んだのだ。
 派手な音を立てて窓から中に突っ込んでいったが、まったく頑丈な娘だ。

『キャロ、エミリア。手持ちの魔法で、なんとかできそうなのある?』
『試してみたいのが、いくつか』

 キャロの声が聞こえる。
 その声を聞きながら、エミリアは左手に握った拳大の小石に意識を向ける。
 数は3つ。

「わたしも、ある。……うん、試すにはいいチャンスかも」

 訓練校時代から、形にしようと温めていたアイデアがある。
 座学で習った古代ベルカの射撃魔法。「魔導師」としての適正があるという自己判断もあり、あまり深く考えることもなかったのだが、AMFの存在を知り、ふと思い浮かんだのが、手元の小石であった。

『あたしもある! ……スバル、フォルテ!』

 ティアナが最前線のスバルとフォルテに呼びかける声が聞こえる。
 方針は決まった。あとはそれを実行するのみ。
 魔法の無効化、それはすなわち自分のアイデンティティを否定されたということ。だからって、否定されたままじゃいられないと思うのは誰だって同じこと。

「フォルテ、進行先から9時の方向に目標4体! わたしたちで仕留めよう!」
『オッケー了解! エリオとスバル、残りよろしくな!!』



 
魔法少女リリカルなのは The Another StrikerS  #03



『ティアっちとキャロちぃは……残り4体、見えてるね!』

 よろしくっ!

 そんなエミリアの状況を伝える声に、ティアナは眉をしかめる。
 ……もう何回目になるだろうか。
 あの娘もスバルと同じだと気付くのに時間はかからず、ある意味スバルが2人になることに、今後の不安を隠しきれずにいたりした。

「…………」

 でも、言わずにはいられない。

「『っち』はやめろって何度言えばわかんのよっ!?」

 声を上げつつ、ティアナは屋根から屋根へと飛び移る。
 射撃型魔導師としての意地のだめ。
 ガジェットを、撃退するために。

 そして。

「いくよ、フリード……ブラストフレア!」
「きゅうぅぅぅ!」

 その場に残ったキャロはガジェットを指差し、自分のパートナーに指示を出す。

「ファイア!!」
「くるぅっ!」

 放たれたのはたった1つの炎弾。
 逃げるガジェット2体を追い抜き、地面に着弾。次の瞬間には炎の壁が出来上がり、ガジェットたちの進行を鈍らせる。
 キャロは、それを見逃さない。

「我が求めるは、戒める物、捕らえる物………言の葉に答えよ、鋼鉄の縛鎖」

 ガジェットの真下に、生まれるは明るい紫色の召喚陣。
 ミッドやベルカのそれとはちがう、正方形の頂点に円を付加した魔法陣の中央が、召喚の扉となる。

「錬鉄召喚、アルケミックチェーン!」

 喚ばれたのは鎖。召喚された数本の鋼鉄の鎖が目標へ向かって突き進み、絡め取る。
 無機物操作を織り交ぜた、器用さを要求される召喚魔法だ。
 無機物だからこそ、AMFは通用しない。
 操作も自身がする必要があるため高い集中力を要することは承知の上で、キャロは見事にガジェット2体を捕獲して見せた。
 そして、残りの2体は。

「こちとら射撃型……無効化されて、はいそうですかって下がってたんじゃ……生き残れないのよっ!」

 射撃型魔導師の意地だ。
 自分の銃に、撃ち抜けないものなんてない――そんな思いの強さが、銃口の先に形成された魔力弾に、さらにバリアを張る。

 多重弾殻射撃。
 通常の魔力弾を膜状バリアで包み、そのバリアでフィールドを中和し突破する。
 時間こそかかっているとはいえ、多重弾殻射撃そのものはAAクラスのスキル。

「固まった……ぁ!」

 Bランクの彼女がそうそうできるものではないとはいえ、それを完成させたことだけでも彼女の能力の高さが窺えた。

「ヴァリアブルシュート!!」

 放った橙色の魔力弾は、迂回せずただ真っ直ぐに狙いを定めて飛来する。
 たった一発。その一発は、ティアナ渾身の作でもあるためか。
 AMFを突破し見事に1体を撃墜。さらに誘導し、残りの1体と、スバルが追いかけていた最後の1体を瞬く間に撃ち抜いた。

『ナーイス、ナイスだよティア! やったね、さすがっ!!』
「スバル……うるっさい!」

 スバルの歓喜の声を聞きながら、荒げた呼吸を整えつつも、

「このくらい、とーぜんよ」

 肩の力が抜けたかのように、背後へ寝そべってしまっていた。





「エリオ、そっちに4体行ってる!」

 聞こえたエミリアからの念話に。

「……了解、任せてください!!」

 陸橋の上から、エリオは自分自身に向かってくるガジェット4体を見据えた。

「いくよ、ストラーダ……カートリッジロード!!」
『Explosion!!』

 実装されたカートリッジシステムを起動させ、愛槍ストラーダを大きく旋回させる。
 展開されるは頂点に円を持つ黄色い三角陣。ベルカ式特有の魔法陣だ。

 これからするのは、自分に課せられた1つの仕事。
 相手は素早い。追いかけて攻撃しても、まず当たらないのは先ほどの交戦で目に見えているのだ。
 だったら、できることは限られてくる。

 ―――追いかけてダメなら、待ち構えて止めればいい。

「ああああ!!」

 空気を切り裂く音を頭上で聞きながら、回す腕に力を込める。
 ひゅんひゅんという快音の中に混じるのは、空気が爆ぜる音。自分の魔力がストラーダに伝達され、電気を起こしているのだ。
 槍身を纏い爆ぜる電撃。
 空気を含み酸素を取り込んだ雷撃はその輝きを増し、振り下ろした攻撃の威力が増す。

『Speerschneiden!!』
「だあぁっ! せぇっ! えぇいっ! やぁっ!」

 自身の足元に向けて4撃。
 砂煙と共に轟音が走る。
 陸橋は瞬く間に崩れ落ち、通り抜けようとしたガジェットを押し潰す。
 立ち上る砂煙から飛び出したのは、2体。
 それに合わせて跳躍したのはスバルだ。

「潰れてろぉっ!!」

 右手手首部分の歯車状のパーツ……ナックルスピナーを回転させ、魔力を纏う。
 彼女が得意とするシューティングアーツの威力を跳ね上げる、近代ベルカ式の魔力付与攻撃だ。
 しかし、そんな魔力付与もAMFの前には意味を持たず、その拳は届かない。
 互いに跳ね飛ばされ、距離が生まれる。
 着地したスバルは、生まれたチャンスをモノにできずAMFの厄介さを再認識。

「それなら!!」

 背後。
 彼女の不意を突いたかに見えたガジェットは、振り上げられたスバルの足に絡め取られる。
 完全なマウントポジションを取ったスバルは再び拳を振り上げ、

「これでどう……だぁぁっ!!」

 ガジェットのアイセンサーに叩きつけ、貫いた。
 AMFがなくなったことをいいことにナックルスピナーが回転数を上げ、さらに拳を突き刺す。
 ガジェットから噴出す煙が多くなったことを確認するや否や、爆発に巻き込まれないようにと跳躍。
 次の瞬間には、ガジェットは爆散。

「よぉっし!」

 スバルは着地すると同時に、グッとガッツポーズをして見せた。





 長剣を携え、フォルテは走る。
 エミリアの指示を受け、ガジェットよりも先に『目標』を捉えるために。
 崩れたビル街だ。
 バーチャルとはいえ、窓は割れ壁は崩れて、なんともリアリティのある光景が視界に納まっている。
 教導隊のエースオブエースこと高町一尉完全監修はなんとも、伊達じゃないということか。

「ミリィ! 目的地は目の前だぞ!」

 愛称で呼ばれたエミリアは、その声を聞きつつ移動を開始。
 フォルテはもうすぐ目標地点にたどり着く。だからこそ、自分が間に合わないのでは意味がない。

「あいつらの足止め、できるよね……抜けてきたやつを、わたしが打ち抜く」
『よっしゃ、まかせときなっ!!』

 ここで必要なのは、ぶっつけ本番で事を遂行できる勝負強さだ。
 模擬戦訓練とはいえ、立派な実戦。
 手抜きなんて…………して、いられない。

「さてさて、空からのお達しの通り……やりますかね」

 長剣の腹に装備されたカートリッジが排莢される。
 左右には崩れたビル群。前方にはガジェット4体。やるべきことは、足止め。
 展開されたのは真紅の魔法陣。三角形を模したベルカ式の魔法陣だ。
 振りかざした両刃の刀身に真紅が宿る。

「スラストファング!!」

 その場で、斬撃を二つ。
 左右に大振り、放たれた真紅の三日月は左右のビルを斜めに斬り裂く。
 フォルテをはさんでできたVの字に沿って、斬り離されたビルの上部は重力に従ってずり落ちる。
 フォルテが背後へ跳ぶのと、ガジェットの到達、ビルの崩壊は同時。

「……ん、ジャストタイミング」

 エミリアは、立ち上る砂煙を目前に軽く笑んで見せる。
 右手には自作のハルバード型デバイス。
 左手には街中で拾ったいくつかの小石。

 必要なのは精密な魔力運用だ。
 武器に魔力を付与するベルカ式の魔導騎士たちはいとも容易くできるが、魔力そのものを武器へと変えるミッド式ではそれも難しい……というよりは、最初から対応していない。動作保障外。
 でも、ミッド式かつ射撃型魔導師である自分にとって、これは必要なこと。

「あんなバリアに、負けてなんてられないよね」

 立ち上った轟音と砂煙を縫って飛び出したのは、2体。
 3つの小石に魔力を通し、その場に浮かべる。足元にはゆっくりと回転する円型の蒼い魔法陣。
 ミッドチルダの射撃魔法にベルカの射撃魔法を応用した、即席の誘導型魔力弾。それを実現した3つの小石の周囲を魔力光が覆い、ふわりふわりと浮かんでいる。
 目の前に現れたガジェット2体を目標に、ハルバードの穂先を向け、

「クイックシューター…………」

 あとはそれを、撃つだけ。

「ファイアっ!!」

 声と共に3つの蒼は、目標へと飛来する。
 ガジェットと魔力弾が衝突するには、時間はかからなかった。展開中のAMFによって進行を阻まれ、しばし拮抗。魔力結合を解除され、蒼い光が徐々に消えていく。
 そのために、小石をオプションにつけたのだ。
 通常の魔力弾では、AMFで無効化されるだけ。それを見越して、魔力が消えた瞬間に速度に乗せた小石が届くように。
 ハルバードを大きく振りかぶり、飛翔。

「やった、思惑通り!!」

 ただの小石じゃ足りない。相手はあくまで鉄なのだから。
 AMFを潜り抜けた小石が1体のガジェットのアイセンサーに命中、破壊した瞬間、バランスを失ったかのように力なく落下しながら、爆散した。
 しかし、もう1体は。

「ええぇいっ!!」

 小石はアイセンサーをはずれ、ボディに激突。多少へこませるのみに止まり破壊には至らない。
 だからこそ、エミリアは翔んだ。
 打ち抜けなかったのなら、直接叩き壊すまで。
 同期のフォワードメンバーたちは皆、突出した能力を持っている。
 この模擬戦が始まってからずっと、そんなことばかりを感じていた。
 だからこそ、目標達成のためにできる限りのことをしなければ精鋭ぞろいのこの部隊ではやっていけないと、そんなことばかりをひしひしと感じていたから。
 大きく振りかぶり、刃を立てて。

「ちょいやあっ!!」

 掛け声と共に、一息にハルバードを振りぬく。
 ガジェットは真っ二つに分断され、爆発。彼女は宣言どおり、とまではいかないものの2人で4体を見事撃退して見せた。

『ミリィ、お前接近戦苦手なのによく頑張ったなあっ!』
「ほんとよもー……疲れちゃったい」


 ●


 そんなこんなで、機動六課設立初日はつつがなく終わりを告げた。
 結成式から夕方までみっちり訓練した新人たちは疲れに疲れて、ヴィータ言うところのグロッキー状態。
 隊舎の待合室で、みんなしてバタンキューな光景が広がっていた。
 そんな中、ドナドナなはようやく、シフルの魔手から開放されていた。

「だはぁ……」

 もとい、その開放は一時的なものに過ぎない。
 訓練を終えて疲れきっている新人たちを呼びに行け、というお達しを受けて、こうして廊下をだらだら歩いているわけだ。
 ……というか、疲れすぎてる新人たちを呼び出すのは正直酷すぎると思うわけで。
 反論しようとしたが、怒りは常に頂点のシフルさまのひとにらみで、言うべきことはすべて吹っ飛んでしまった。

 あいつは鬼だ。悪魔だ。デーモンだ。

 …………………

 で、だ。

「ここ、どこよ?」

 この隊舎、広すぎ。
 近いうちに隊舎マップをもらおうと誓ったであった。

 夕日は落ち、月光が差し込んでいる。
 ずれたメガネを上げなおし、天に差し掛かる月を臨む。
 静かな夜だ。
 このミッドチルダという世界で今、大きな事件が起こっているなどとはとても思えないほどに。
 雲はなく、無数の星は燦然と輝く。

 こんな夜は高台で、風に当たりながら団子でも食ベたりでもしたらどれだけいいか。

『無理に決まってるでしょう?』
「うぉっ、びっくりした。アストライア、お前さん俺の心でも読めるのかい?」
『そんなわけないでしょう。あなたが自分で言ってたんです』
「あ、そ……」

 もう時間も遅い。
 早めに呼んで早めにやることやって、さっさと寝てしまおう。
 そんなことを思いながら、

「……あ、そういや俺、迷ってたんだった」

 ああもうどうしようもないよこいつ。


 ……


「そろそろ、部屋戻りましょ。時間も遅いし」

 そんなティアナの声で、一同はのっそりと立ち上がった。
 身体中が悲鳴を上げてるのがわかる。
 骨が軋んで、筋肉が休息を訴えて、脳が勝手に休もうとしてる。
 こんなところで寝たら、部隊結成の二日目から風邪ひくことになったりしそうでなんかイヤだ。
 だからこそ、一刻も早く帰って寝ようと。
 そんなことばかりをみんながみんな考えていたからか。

「おー、やっとみつけた」

 突然の来訪者に、反応することもできなかったりした。
 開いた扉から現れた青年はどこか疲れたような表情を作って、しかし笑顔で部屋に足を踏み入れる。
 今日の訓練は全部こなしたはず。
 今日中にやることはもうないはずなのだが。
 しかし、彼―――ウインド分隊隊長のを認めると、新人一同は疲れをそっちのけにして佇まいを正して、しっかりと敬礼してみせる。
 そんな6人にどことなく呆れたような表情を見せると、

「あー、諸君。敬礼はいらんよ。今日はもう終わりなんだし……てか俺、敬礼ってキライでさ」
「は、はぁ……」

 今後もしなくていいからね、なんて言われても、むしろ困ってしまうのは新人たちの方だ。
 訓練校は魔導師としての訓練だけでなく、普段の生活から上下関係や局員としての立ち居振る舞いを学ぶ場でもあったから。
 敬礼の練習だってした記憶は、新人たちの中ではまだ新しい。

「できればさ、六課にいる間は上官が相手でもそれなりにフランクな方がいいと思うわけよ……って、そんな話をしに来たんじゃないのですよ」
「…………」

 びしっ、と決めた敬礼が、へろへろになっていくのがわかる。

 はえーと、と新人6人を見回して、

「エミリア・G・ウィンスレット二等陸士と、フォルテ・ディグニティ二等陸士」
「「は、はいっ!」」

 返ってきた返事に、はにか、と笑って見せると。
 新人にとっては酷過ぎる、最後の一撃を喰らわせることになる。
 しかも、特定の人間だけに。

「なのはちゃん完全監修の超ハードトレーニングで疲れてるトコ、ひっじょーに申し訳ないんだけどさ……2人はこれから、メンテナンスルームに出頭することー」

 さあさあさあさあ、おいでませおいでませ。

 そんな風をイメージさせるような、手招き。表情には苦笑が貼り付けられていた。
 新人たちの心情をまるで自分のことのように理解しているようにも見えたが、のことだ。そんな深い考えはまずありえないだろう。

「他のみんなはお疲れさん。ゆっくり休んで明日に備えるようにー」

 そんな言葉を残して、は2人を引き連れて出て行った。
 その光景を最後まで見ていた残りの4人――特にスバルは何か言いたげに、しかしタイミングを逃したかのような格好で、ぽけー、と呆けていたりした。

「……行ってくれば?」
「え?」

 タイミングを逃したスバルに声をかけたのは、長年コンビを組んでいたティアナだった。
 陸士訓練校で3年。部隊に配属されて、今年で4年目。
 寝食訓練を共にして、今の2人の関係がある。
 だからこそ、お互いのことは手に取るようにわかる。

 特に、こうと決めたら一直線のスバルはわかりやすかった。

「知り合いなんでしょ? 見た感じ、結構長い事会ってなかったっぽいし…………まあ別に、行くかどうかはアンタが決めることだけど」

 頬を赤く染めて、ぷい、とそっぽを向く。
 そんな優しいティアナに、

「ありがとティア! だからティア大好きだよー」
「うっわ、ちょっと抱きつかないでよ!」

 スバルは、心底嬉しそうに抱きついて見せたのだった。




元アニメ第3話の部分は、もうちょい続きます。
今回は戦闘…初日の訓練風景を起こしてみました。
もちろん、オリジナルな部分も含めてですけどね。


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