やっぱり今のままじゃダメだ。

 このままじゃ、身体がいくつあっても足りない。

 は、焦っていた。

 彼が焦る理由は。



「う〜ん、やっぱカワイーなぁ……」
「そうよね〜。カワイイって最高よね……」
「萌へぇ〜〜です〜……」



 この3人にある。













 
とりあえず獣化してみた。










   −2日目−













「……というわけで、何とかしてくれ」
「なんとかって言われても……」
「わからないもの、どうしようもないと思うけど」

 は、キールとソルの部屋へ押しかけていた。
 もちろん、目的は耳と尻尾のこと。
 さすがの彼でも、いつまでたっても冷めないあの3人にほとほと困っていたのだ。
 寝る間もなく耳を尻尾をいじられて、若干寝不足でもある。
 しかも、ついさっきまでべったりだった。
 男としては嬉しい状況でも、それは耳と尻尾の恩恵であり彼自身のものではない。
 そんなわけで、早急に何とかしてもらおうと彼女たちの目をかいくぐって部屋までやってきたと言うわけである。

「君たち召喚師だろ? 頼むから、俺の中のクロックラビィを何とか引き剥がしてくれ」
「あのな、そもそもお前がクロックラビィと融合した原因すらわかっていないんだ。それを引き剥がせなんて、無理に決まってるだろ」
「ああ。できたとしても、君の身に何が起こるかわからない。実際、こんなケースは初めてだからね」

 からすれば、『無理』というのは非常に困る。
 これから先も今のような状況が続くのは、体力的にというよりは精神的に非常に困るのだ。
 まだ、一連の事件も解決していないのに、仲間から逃げるためにこの街から離れる可能性だってないわけじゃない。

「頼む、このとーりだから!!」

 両手を合わせて、とにかく懇願。
 今の状態から逃れるには、召喚師としての知識が豊富な2人の力が必要不可欠。
 カシスは問題外だし、クラレットは性格的にお人よしだから、間違いなくカシスにしゃべってしまうだろう。

「……わかったよ」
「どーなっても知らないからな」

 深く深くため息をついて、キールとソルは困ったような表情をしたのだった。














「……というわけで、第1弾」
「いぇ〜い」

 何が起こるかわからないということで、やってきました荒野の真ん中。
 サイジェントから充分に離れ、何が起きても影響はないだろう。
 もちろん、出かけてくることを事前にレイドに話しているので、彼の口から当事者を除く全員に話が行き届いていることだろう。

 ちなみにナツミがいるのは、の中のクロックラビィを彼女が召喚したから。
 もしかしたら解決の糸口になるかもしれないということで、こうして同行願ったわけである。

「まず、が今の状態になった原因を検証していこう。ナツミ、詳しい話を聞かせてくれ」
「う〜ん、が元に戻っちゃうのはちょっと惜しいけど、まぁいいや。えっとね、はぐれと戦ってて……」

 はぐれと遭遇し、そのまま戦闘へ。
 戦闘中にの背後からペトラミアが『石烈の眼光』を使用。直前に援護しようとクロックラビィを召喚。
 しかし、あえなく彼は石化。ナツミは治療の召喚術を所持していなかったので、慌てて治療の術を使えるクラレットを呼びに行った。
 さほど時間もかからずに治療は終了したのだが、その間にと憑依中だったクロックラビィは彼の中で融合。
 現在の状態に至る。

「……と、言うわけなんだけど」

 話を要約すると、こんな感じ。
 戦闘中に危険は付き物。ナツミが援護をするのもわかるのだが、

「ナツミが悪いってワケじゃないけど、援護するなら憑依じゃなくてちゃんとした攻撃術がよかったかもな」
「えぇっ!? でも、は魔力耐性が低いから、巻き込むのはどうかと」
「違う。どんな状況だったかはともかく、に当たらないくらいの範囲の小さい術を使えばよかったんだ」

 つまり、比較的範囲の狭いワイヴァーンや、単体攻撃の可能なヒポス&タマスとか。
 彼に当たらなければいいわけだから、憑依でなくてもよかったことになる。

「それに、彼の場合は自分で対処できたかもしれないし」
「いや、急なことだったからな。あの状況じゃ無理だったと思う」

 とりあえず付け加えるように言うが、さほど意味の無いことだ。
 すでにことが起こってから1日たっているのだから。
 2人はふむ、と考える仕草をして、

「昨日は融合って言ったけど、今の話が真実なら……」

 なんとかなるかもしれない。

 キールがそう告げた。
 原因は、石化中に憑依しっぱなしだったクロックラビィ。

「石化っていうのは、一時的に仮死状態になるってことなんだ。だから、と一緒にクロックラビィも仮死状態になってしまい、解除した瞬間に融合……いや、一時的にの身体に2つの種類の違う存在が混在してしまっているんだ、多分」
「ほうほう……で?」
「で? じゃないだろナツミ。お前がクロックラビィを、送還してやればいーんだよ!」

 というわけで、現在の状況の打破は簡単なことだった。
 ナツミはポケットのサモナイト石を取り出して、石が淡く弱く光っているのを確認した。
 召喚した召喚獣は、喚んだ人間が送還するというのは、この世界では常識だ。
 だからこそ、を前にナツミは送還の儀式を始めたのだが。

「あれ? 結構きっついね……」
「それはそうさ。1つの存在にくっついたもう1つを剥がそうとしてるんだから」

 たんすや扉などに小さい子供が面白がって貼り付けたシールと同じだ。
 思い切り張り付いてしまうので、少しずつ、ゆっくり剥がさないと跡が残ってしまうから。
 今の状況は、そのときと同じなのだ。
 今回の場合はたんすや扉がで、シールがクロックラビィ。シール同様跡が残らないように、ゆっくり剥がしているからこそ、ナツミはきついと感じたのだ。

「ふぬ〜……」
「おぉっ、お、お……」

 奮闘するナツミとは反対に、腰の違和感が消えていく。
 同時に強い脱力感にかられるが、ナツミがまだ奮闘してくれているので我慢だ。
 の身体から緑の光が抜けていき、ナツミの手にあるサモナイト石へゆっくりと戻っていく。


 すべてをきっちり取り除くには、十数分の時間を要した。
 魔力が抜けきると、強い光とともに耳と尻尾の無くなったと、宙に浮かんでいるクロックラビィの姿。



「ややっ…やややややっ!?」



 さわさわ。
 ぱんぱん。

 頭上に手を当てて……耳、なし。
 腰を確認……尻尾、なし。


「やった! ありがとうナツミ、ありがとうキール、ありがとうソル!!」


 見事に、元に戻っていた。


「よかったな、簡単なことで」
「ほんとうだね。もしナツミが失敗していたら、もしかしたら永久にそのままだったかもしれないわけだし」

 今考えてみると、ずいぶんとギャンブル性の高い賭だった。
 ナツミがしくじれば永久にそのままだったのだから。
 ヘタしたら、メイトルパの召喚獣と勘違いされて巻き込まれる確率が格段にアップしたかもしれないのだから。

「クロックラビィも外に出れてよかったみたいねえ。なんか、いろんなのに縛り付けられて身動き取れなかったみたい」

 召喚主だからこそ意思の疎通が可能なのか、単に彼女の思い込みや勘によるものなのかはわからないが、ナツミはそんなことを口にして苦笑している。

「恩に着るよ、3人とも」

 は3人に向けて深々と頭を下げたのだった。













「あれ? 、耳と尻尾は」
「除去してもらいました」
「なっ、なんでなんでなんでそんなことしたのーっ!?」

 貴女たちが一向に飽きる気配がなかったからです。

 もちろんそんなことを口にはしないが、内心でそう思ってみる。
 背後でアヤがひどくショックな表情をしているのは気にしないでおこう。

「ま、なんにせよだ。大事にならなくてよかったな、?」
「ホントだよ。あの状況じゃ、一生そのままはゴメンだからな」

 エドスもそのあたりはわかってくれているのか、普通にねぎらいの言葉をかけてくれた。
 それは今回かかわりがなかったレイドやガゼルも同様で。

 残念がっていたのは、カシス、リプレ、アヤの3人だったりする。










「いや〜、やっぱりどんなことでも自分のものがサイコウだな!!」













……お疲れ様でした。
とりあえずなんか色々とヒドイ部分ばっかりだったと思います。

300000Hit記念という割には対した量でも質でもないし。
なんつーか、内容薄すぎだし。
読みづらい部分とか、多々あると思います。

…ホントすいません。
ですが、最後まで読んで、もしも楽しんでくださった皆さんがいらっしゃったのでしたら、深くお礼申し上げますです!!



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