どこだかもわからない世界をたゆたいながら、思う。



 なんか、妙なことに巻き込まれそうな予感がする、と。



 気づけば、辺り一面七色の海だった。
 自分はその中心でぷかぷかと浮かんでいるような感触だ。
 無論、感覚はある。
 腰には絶風も差さっているし、手を開こうと試みれば、ちゃんと開く。
 首を動かせば、ちゃんと周囲を見渡せる。

 さて、ここはどこだろう?






   ・

   ・

   ・








 答え:サッパリ分かりません。












 ・・・













「さて、これからどうすればいいんだろ」

 呟いてみる。
 自分ひとりしかいないのだから、答えなど返ってこないのだけど。
 でも、さすがに呟かなければいられない。
 なにせ、自分ひとりしかいないのだから。

「とりあえず、なんかここ身動き取れないし・・・」

 感覚的には、海かプールの水面に浮かんでいるような感覚なのだが、どういうわけかその場から動くことが出来そうにない。
 もがいてももがいても、手応えがないのだ。

 ・・・いや、泳げないわけじゃないですよ?





 途方に暮れていたその時。


“ありがとう・・・”


 声が聞こえた。
 か細く、聞き取るだけでやっとなくらいの大きさの、小さな声。
 どこかで聞いたことがあった。
 記憶を巡らす。


『助けて・・・あの世界を・・・』

『かつて楽園と呼ばれていた世界、リィンバウムを・・・』


 思い出した。
 島に召喚される直前に聞いた声だ。


“あの場所を、守ってくれて・・・”

「君は、一体・・・」

“でも、まだ・・・”


 海の声を聞くことなく、苦しげに声は告げる。
 無視しているわけではなさそうなのだが、しかし苦しそうな声を漏らす。


“もう一度、私の頼みを・・・聞いてくれますか?”


 声だけが、自分に問いかける。
 ここまで来てしまった。
 長年付き合ってきた友達とも別れ、行方不明になってしまった護衛獣の少女も見つかっていない。
 それに、島にいる『彼女』と、約束した。
 必ず帰ると。
 そして、前にも言った。





「それが、俺にしかできないことなら」





 そして、俺に出来ることなら。





「やってやるよ」




 視界に広がる七色に告げた。
 その瞬間、目の前が真っ白に染まっていく。
 侵食されるようにとか、そういったわけではなく、一瞬にして真っ白になった。
 さらに、その眩しさに目を閉じる。
 光が、視界を支配したのだ。
 さらに、以前のようにこみ上げてくるのは強烈な睡魔。


 これから先も、自分にできることをやっていく。
 やれることなど決まっているけど、それでも。


 目を閉じた。
 徐々に感覚が薄まり、消えていく。
 意識が次第にまどろみ始める。


 その自分にできることを、自分の思うがままに。
 とことん、やっていく。
 それが、問題の解決への近道だと思うから―――


 そして。







「へっ?」


 いきなり感じる浮遊感。
 下から上へ、感じるのは風だった。
 自分は真上を向いているので、背中側のことはよくわからない。


 が。


 分かることは、剣戟と炎の爆ぜる音。投げ出された時間帯が夜だということ。
 そして。

「落ちてるし―――――っ!?」

 自分が落下しているということだけだった。








 紡がれる。


 それぞれの道を進む彼らには、希望に満ち溢れた未来が広がっている。


 選択肢は無限大。
 未来を築いていくのは、彼ら自身に他ならない。





 そして。





 彼らと道を分けた彼も、まっすぐ進んでいく。


 物語は新たな舞台へと進んでいく――――


















































    
サモンナイト 〜築かれし未来へ〜

    エピローグ ―後編―  新たな舞台へ




















エピローグ・夢主編をお送りしました。
スゴイ短いですが、これで1連載はすべて終了したということになります。
守護獣だしたり絶風第一開放第二開放と、まぁ色々とすごいことになってしまいましたが、
楽しんでいただけたのでしたら、書き手としては大満足です。


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